韓国籍の〝産業スパイ〟が、中国の鉄鋼大手に機密情報を売り渡した。蓋を開けると、その技術は日本企業が開発したものだった---。アジアを舞台に繰り広げられた熾烈な企業間競争の内幕に迫る。 損害は1100億円 〈損害賠償等請求事件 訴訟物の価額 金1105億4120万円〉 〈被告POSCOが、(中略)田中氏、大蔵氏、被告瀬田及び山下氏(仮名、原本では実名=編集部注)らをはじめとする日本に居住する原告の元社員、その他の日本における複数の協力者と共謀の上、(中略)高額の対価を支払うのと引き換えに、(中略)高品質の方向性電磁鋼板の量産を極めて短期間で成功させたことにより、原告に対して巨額の損害を被らせた〉 請求額約1100億円、印紙代だけで1億1657万円(!)という超巨額の賠償請求訴訟が今年4月、東京地裁に提起された。 原告は日本最大の鉄鋼メーカー・新日鉄(現・新日鉄住金)、被告は韓国の鉄鋼最大手・