レポート 泥にまみれた塚田九段が譲れなかったもの -『将棋電王戦』第四局 "棋士の意地"すら超えた、勝負への壮絶な執念 人間対コンピュータの戦い。このレポートも4回目を迎えるが、今回の戦いほど異様な勝負はこれまでの将棋界では見たことがないものだった。筆者は第三局のレポートの結びで「意地の勝負なら塚田九段はきっとやってくれる」と予想したが、塚田九段が見せたのは「棋士の意地」の範疇をすら超えた、勝負への壮絶な執念だった。泥にまみれることすらいとわない、なりふり構わぬ戦いぶりに対しては賛否両論もあるだろう。しかし、この戦いを称えるのか非難するのか、それは勝負を見た人間がそれぞれに決めればいい。ここでは、この日の盤上とそれを取り巻く人たちの間で何が起こっていたのか、その真実に迫ってみたい。 「第2回将棋電王戦」は、日本将棋連盟に所属する現役プロ棋士5人と、第22回世界コンピュータ将棋選手権で上位に