小雨の中、沖縄の那覇新港に停船する「飛龍21」 さかのぼること5月のある朝、ぼくは沖縄の那覇新港にいた。本当は帰省先の鹿児島から東京へ直帰する予定だったのを取りやめ、わざわざ飛行機でここへ来た理由はただ1つ。フェリーの日本最長航路に乗船するためだ。 現在の日本最長航路はマルエーフェリーが運航する貨客船「飛龍21」の沖縄~東京間。総距離は1743キロ。直行便ではなく途中で鹿児島県の名瀬港と志布志港に寄ると、乗船時間は上り約47.5時間、下りは約50時間、どちらにせよ2泊3日船の上にいることになる。寄港地以外はほぼ電波が圏外で、通話もネットも使えないので、かなり暇に悩まされる乗り物だ。 とりわけ恐ろしいのはコストパフォーマンス。沖縄~東京間の運賃は、最安の2等客室で片道2万7230円になっている。 今のご時世、閑散期の格安航空券を狙えば、沖縄~東京間は片道約2時間・1万円以下で行けてしまう。飛