■「みる・きく・はなす」はいま 【多知川節子】これで、もう人の目を気にして暮らさなくていい。 4月19日、大阪地裁。足の不自由な大阪府枚方市の佐藤キヨ子さん(73)は、車を持っていることを理由に市に生活保護を打ち切られ、法廷で争った。判決は勝訴。「車を使うことは自立を助ける」と認め、市に賠償を命じた。 生まれつき股関節に障害がある。60歳を過ぎて手術を受け、痛みは少し和らいだが、筋肉が弱くてよく転んでしまう。座席を改良した車は、通院にも買い物にも欠かせない。10年を過ぎた車だが、一人息子が贈ってくれた宝物でもある。 数時間後。ネット掲示板に判決を報じる記事を貼りつけたスレッドが立った。 〈歩けないなら車いらないだろ ねとけよ〉 〈保護とめられても生きてたんだし。要するに不正受給ですな〉 身近にも陰口をたたく人はいた。でも、裁判で勝ってもそうなのか。 「私の痛みや苦労なんて全