中小企業の取材で全国を回っていると、地方経済の衰退ぶりを痛感させられる。厳しい環境の中で業績を伸ばしている中小企業も存在する。しかし、残念ながらそういう企業はごく一部である。地方全体として見ると、人口減少、高齢化という巨大な波には抗いようがないようにも感じられる。 そんな中で、地方再生に焦点を当てた政策提言の書、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)が発行された。著者は、企業再生のスペシャリストとして知られる経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO、冨山和彦氏だ。 冨山氏によれば、これからの日本の成長はローカル経済圏にかかっているという。日本の会社の大半は、実はグローバル経済圏とは無縁である。だから日本の成長を論じるのなら、全国各地の小さな市場で勝負している中小企業に目を向けるべきなのだ。 冨山氏はさらに発想の転換を促す。これまで様々な地域振興策や経済活性化の方法が叫ばれてき