どうせ才能もないのに4年間ふらふらと芸術活動をして、ちょこっとだけ働いて、退職して、こんなド地方に嫁に来た母。 母は私にものすごく手と目をかけて育てた。 私は母のようにはなるまい、と思っていた。大学でやったことを仕事にして、自分の力で食べていくのだ。 結構頑張って勉強した。実家から通える駅弁国立大の医学部に進学した。 医学は実学の最たるものだ。私は母とは違う。 家庭なんかもつものか。 医者になって、稼いだお金は自分のために使うのだ。4年前までそんな風に意気込んでいた。 受験、大学に入ってからの勉強のストレスか、もともとメンヘラ気質だったのか摂食障害になった。 バイト代は全部食費に消える。家族に隠れて夜な夜な胃に詰め込んでは吐く。 やった後は猛烈に後悔する。もうやめようって思う。でも翌日の帰りにはまたスーパーコンビニに足が向いてる。 自分が患者だったらこんな医者には死んでも診られたくない。