それは会社が正規雇用をやめて、非正規雇用の人員を増やしているのと同じ理由である。 日本において、会社の意思で正社員をクビにすることは許されていない。一方で正社員の側は、いつでも会社を辞めることができる。だから会社は正社員をクビにしたいときには、クーポン退職金を提示して、お願いしますので自分から辞めてください、とお伺いを立てなければならない。要するに手切れ金を渡すから、代わりに辞めてね、とお願いするわけだ。 労働契約は労働力と金銭の交換なのだから、その交換が終わった時点で本来は恨みっこなし(債権債務が清算された)な状態のはずなのだが、そうはいかない。労働契約は最初から、片務的な解除条件を内包しているからだ。だから会社側の視点からすると、正規雇用は最小限にとどめて、非正規雇用の人員を増やすのが合理的である。 これは誰もが知識として知っていることだが、結婚という契約も同様に、解除条件が片務的に設