「蝶々世界」木爾チレン(著)、蝶々P(原作)、riria009(イラスト)、一迅社 7月末、「蝶々P」の楽曲をオムニバス短編にした小説「蝶々世界」(一迅社)が発表された。蝶々Pはメジャーデビューも果たしている人気のボカロP。一方、小説の作者・木爾(きな)チレンさんは、近年とみに注目を浴びている新潮社の新人賞「女による女のためのR-18文学賞」出身で、純文学も得意とする若手作家だ。 ネットで話題のコンテンツを中高生向けに小説化する流れは最近すっかり定着した感がある。フリーゲーム「青鬼」のように小説がシリーズ累計30万部を超えるヒットを飛ばし映画化されるケースもある。こういった流れは、以前記事で紹介したようなボーカロイド楽曲の小説化から始まっている。 そして「蝶々世界」もまさしくこのジャンルの作品なのだが、読んでみるといろいろな意味で既存のボカロ小説とは違うのだ。そもそもオムニバスであり、共通