事実を知れば知るほど、実に「巧妙なウソ」だったことが分かる。 言うまでもなく、天才作曲家とされた佐村河内守氏のことだ。 テレビ関係者もまんまとダマされていた。 元テレビドキュメンタリーの制作者で現在はテレビ批評をやっている私のところに週刊誌や新聞記者などから次々に電話がかかってくる。 「それにしてもなぜテレビドキュメンタリーで長期取材した時にウソが見抜けなかったのでしょうか?」「テレビドキュメンタリーで取材する時に事実の確認はしないのでしょうか?」そんな質問を記者たちから投げかけられる。 しかし、結論から先に言えば、仮に私自身が佐村河内守氏のドキュメンタリーを企画し、取材したとして、そのウソを見抜けたのか、と問われたなら、それをウソだと見抜くことは難しかっただろう。おそらく、私もまんまとダマされただろうと想像する。 それくらい新聞・雑誌記者やテレビ制作者、視聴者・読者たちの「心理」をついた