W杯準決勝ブラジル対ドイツ。前半で0-5と大差がついた直後に「事件」は起きたのだった――。 僕はベロオリゾンテのスタジアム、通称「ミネイロン」のバックスタンドの2階席で試合を観ていた。ブラジルサポーターが陣取るゴール裏に近いコーナー寄りのエリアだ。観戦チケットが定価660USドル(約7万円)もするカテゴリー1のゾーンだが、90分間立ちっ放しで血気盛んに応援したい若いブラジル人と、座ってじっくり観戦したい年配のブラジル人が混在していた(ドイツ人は周りを見渡す限りいなかった)。 僕はコーナー寄りのカテゴリー1のバックスタンド2階席で試合を観ていた。国歌斉唱で起立していた観客はキックオフと同時に着席するのが暗黙のルールだが、その熱血サポーターたちは試合が始まっても立って応援を続けていた。後ろのブラジル人が注意しても全く聞く耳を持たない。そんな中、早々とMFトーマス・ミュラーのゴールでドイツが先制