非正社員を含め、働き手全体の生活底上げにつながる最低賃金をめぐる議論が、大詰めだ。政府は全国平均15円の引き上げだった昨年以上の増額をめざす。だが、消費増税や物価高の直撃で、全国最低の664円の9県では「こんな水準では夢も希望もない」との声がもれる。 梅雨明けで真夏の太陽が照りつける宮崎市内。ハローワーク宮崎の玄関で、白い日傘を差した女性(47)が顔を曇らせながら紙をめくっていた。 「レジ係 時給664円」「清掃スタッフ 時給665円」。宮崎県内の最低賃金は664円。玄関脇の箱から取り出した一覧表には、最低賃金か、それをわずかに上回る金額の求人が目立つ。「短大生のころのパートより安い。これだと、フルタイムでも月に10万円少しにしかならない」 2年前までコールセンターの契約社員だった。手取りで月給は17万円台。体を壊して退職し、今月から、職探しを始めた。「人手不足で賃金が上がるとか、景気がよ