平等と格差の間でのトレードオフはない 30年以上にわたり、米国の政治に関心をもつほとんどの人が、富裕層の税率の引き上げと貧困層への援助拡大は経済成長を阻害する、という考え方を支持してきた。 リベラル派は一般的に、貧困者への援助の代償を若干のGDPの低下という形で払うことが、ある意味ではトレードオフ(交換条件)だという見方をしてきた。一方、保守派は、富裕層の税率を引き下げ、貧困層への援助を削減し、上げ潮にすることで、すべての舟を浮上させることが最善の政策であると主張し、トリクルダウン経済理論(※)を提唱してきた。 しかし現在、新しい見解を裏付ける事実が次第に明らかになりつつある。つまり、こうした議論の前提はすべて誤りだという事実、そして、実際には平等と格差の間でのトレードオフはないという事実だ。 それはなぜなのか?――市場経済が機能するうえで、ある程度の格差が必要なのは事実だ。しかし米国の格