日本でも、徐々に広まりつつある電子書籍。昨年、アマゾンなど米IT大手と配信契約を結んだ出版社KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)会長(70)は、米大手を重要なビジネスパートナーと見る一方、「流通の支配」に警鐘を鳴らしている。 1年以上にわたったアマゾン、グーグル、アップルなどとの契約交渉は「極めてハードだった」。直面したのは、米国流の市場の論理だ。「出版を続けるのが難しいほど厳しい価格条件」の提示から始まり、作品を「ブラックボックス」状のサーバーに預かって無限に利用できるような権利なども求められたという。 「彼らにとって大事なのは利益と、消費者から訴えられないこと。日本の出版社が大切にする作家との信頼関係など理解しない」 電子書籍は出版社が価格を決められる再販制度の対象でないこともあり、アマゾンなどでは「既に値崩れが始まっている」。でも、価格が安くなるのは出版社には都合が悪くても、消費者