(前回から読む) 前回、上海のメイドカフェを実況報告した。そこは、日本のアキバとはまったく別物のオトボケ脱力スポットだった。バイトをしているのは地元の女子大生で、彼女らにとってはコスプレを楽しむ期間限定おたわむれの場所、生きた日本語を学べるほとんど学習塾みたいな世界だった。 彼女らの中には上海で名門と呼ばれる大学の学生もいた。一般に中国では大学の序列がきわめて厳格に階層に反映される。だから、日本の大学の教壇に立つ学者や気鋭のジャーナリストを輩出したことで知られ、中国でもトップクラスの大学の学生がメイドにいることを知った際は、いろいろ考えさせられた。 中国のエリート大卒の諸先輩方の中には、文革中に辺境へ「下放」され、十分な教育機会を受けられないまま青春時代を過ごし、やっとつかんだ日本留学後も苦学して、現在の地位を得たという人が多い。自分たちの後輩がメイド服に着替えて「お帰りなさいませ、ご主人