昨年4月に、書く文章は誰のため? という記事を書きました。その中で、文体について触れたのですが、文章について論じるにあたって、端から文体について不十分なまま語ってしまうという愚を犯していると思ったまま、今日に至っています。 そこで、文体について、その用途、役割などといった観点から、数回に分けて考察し、記事を書きたいと思っています。 ■文体とは ぶんたい【文体】 (1) 文章の様式。和文体、漢文体、あるいは書簡体など。(2) 文章のスタイル、筆者の個性的な特色をなすもの。 (岩波国語辞典 第四版より)辞書に書かれているように、一口に「文体」といっても、かなり幅の広い意味があり、単に「です・ます調」、「だ・である調」といった文末の違いに留まらない、さまざまな意義を持っているものです。 また、「筆者の個性的な特色をなすもの」であると考えると、「正しい文体」など存在しないのかもしれませんし、それ以