まだメジャーに行く前、大谷が読んでいた一冊の文庫本がある。タイトルは『運命を拓く』。二刀流をひっさげて海を渡る若者にふさわしい響きだが、いったい、どんな人物が、何を書いた本だったのか。 「人生哲学」の第一人者 「1年間すごく充実して楽しい時間を送れた。いいシーズンでした」 11月22日、前日にアメリカから帰国したばかりのエンゼルス・大谷翔平(24歳)は、会見で満面の笑みをうかべながら語った。 見事というよりほかないルーキーイヤーだった。 肘を故障し二刀流こそ途中で断念したものの、4勝22本塁打、打率・285の成績でシーズンを終了。リーグ断トツの得票で新人王に選出された。 世界中から才能が集まる競争の世界で、圧倒的な成績で、実力を認めさせる。とても24歳のものとは思えない大谷の強靭な精神力の源は、どこにあるのか。本人は多くを語らないが、そのヒントが、渡米前に熟読していた本に隠されている。 昭