木を削り取った薄い板のことを「経木」(きょうぎ)といいます。もともとはお経を書き込んでいたというのが名前の由来で、主に食品の包装に使われてきました。今でもお寿司屋さんが仕込んだネタを載せるために氷の上に敷いていたり、お饅頭や肉まんを蒸かすときの底にしたり、納豆を包んだりと、さまざまな使われ方をしています。その経木をつくり続けているのが群馬県桐生市の佐藤経木工場。創業者で今も現場に立つ佐藤徳則さん(大正15年生まれ)は経木の魅力を次のように語ります。 聞き手・文:赤堀 楠雄(林材ライター) 経木にはアカマツを使います。脂分が適度に入っているから色艶がいいし、粘りもあるんですよ。習字の墨はマツの煤からつくるでしょう。マツにはそれくらい脂分があるんです。経木もね、燃やすと黒い油煙が出ますよ。 昔は何でもこれで包んでたんですよ。サンマも味噌も佃煮もね。おにぎりもこれで包めば握ったままの感じでおいし