【岡崎明子】がんにかかったことで、通院で会社を休んだり、仕事の生産性が落ちたりして、年間最大約1兆8千億円の労働損失が生まれている可能性が、厚生労働省研究班の研究でわかった。こうした推計は国内で初めて。働く意欲のある患者を支援する動きもあり、研究班は「対策を取ることで損失を減らせるかもしれない」と指摘する。 国立保健医療科学院の福田敬・上席主任研究官らは2011年度の国の統計をもとに、20〜69歳で働いている人ががんになった際の労働損失を推計。対象は最大40万人と見積もった。 入院や通院で会社を休んだ場合など治療による直接的な損失は約4500億円。うち女性の乳がんは約550億円と最も多かった。乳がんは40〜50代の働き盛りの年代で発症する人が多い上、術後も通院期間が長いことが理由として考えられる。 治療日以外の労働状況についても、一般の人と同じ程度に働けるかどうか、仕事を辞めていない