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書評に関するkassy_jpnのブックマーク (3)

  • 生きるとは、自分を飼いならすこと「老妓抄」

    「短篇の傑作といえば?」でオススメされたのが、岡かの子の「鮨」。そうかぁ…と読み直したら、わたし自身について発見を得た。嬉しいやら哀しいやら。 テクストは変わらない。だから、わたしの変化が三角測量のように見える。わたしという読み手は、自ずと「わたし」にひきつけて読む。「わたし」と同姓の、同年代のキャラクターや、発言や考えに似たものを探しながら読む。結果、「鮨」なら潔癖症の少年、「老妓抄」だと老妓に飼われる男の視線に沿う読みだった。それはそれで旨い短篇を楽しめた。舞台やキャラや語りは、さらりと読めてきちんと残る名描写だから。 でも違ってた、やっと分かった、ある感情が隠されているのだ。それは、ファナティック。叫びだす熱狂ではない。かつてマニアックだったもののベントに失敗して、溜まった余圧に動かされている残りの人生の話なんだ。だからおかしいほどに"こだわる"。老妓が余芸にあれほどまで熱を込める

    生きるとは、自分を飼いならすこと「老妓抄」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    なぜ自分が自分の形を留めていられるかというと、自分を知る誰かがいるから。 誰も自分を知らない場所へ旅するのもいい。そもそも誰一人いない場所を旅するのもいい。だが、いつかは放浪をやめてこの世界のどこかに落ち着かなければならない。さもないと人という存在と疎遠になり最後には自分自身にとってさえ他人になってしまう。 誰かを撮った写真は、近しい人間の心のなかでしか価値を持たないのと同じように、人の心も別の人間の心の中でしか価値を持たず、その人の思い出は、思い出したときにのみ存在するだけであって、思い出す人がいなくなれば、消え去るほかない。 人生は思い出だ、そして思い出が消えれば無になる。だから人は思い出を物語ろうとする―――コーマック・マッカーシーの『越境』を読んでいる間、そんな声が通底音のようにずっと響いていた。 マッカーシーの代表作ともいえる国境三部作(ボーダー・トリロジー)の第二作がこれだ。第

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 芥川賞最年少受賞に思う│mm(ミリメートル)

    1.19歳と20歳のダブル受賞  蹴りたい背中の画像 今日発売の『噂の眞相』と『文藝春秋』を、いそいそと買いに行く。 ウワシンは毎月買っているのだが、『文春』は「芥川賞受賞作全文一挙掲載」目当てである。 書店には、すごい量の『文春』が平積みになっていた。芥川賞が社会現象になるのは村上龍の『限りなく透明に近いブルー』以来だから、文春としても勝負をかけて相当な部数を出したにちがいない。受賞作は2作とも版元が文春ではない(集英社と河出書房新社)から、単行がいくら売れても文春はオイシクないわけだし。 19歳と20歳の史上最年少ダブル受賞については、私も「なんでそんな小娘が……」と思ったクチである。 しかし、芥川賞は基的に新人賞なのだから、「受賞者の今後の可能性」にも配慮すべきであり、その点ではむしろ順当な授賞ともいえる。綿矢りさ、金原ひとみの2人とも、少なく見積もっても40年以上は〝残り時間〟

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