僕には線が見えていた。 そしてそれに支配されながら生きていた。 突然のことで何のことかと驚かれるかもしれないが、こう言う以外に伝え方が分からない。 目や脳の異常で実際に見えているわけではない。 感覚的に見えていただけだ。 今ではほとんど見えなくなっているため過去形とした。 具体的にどういうことかと言うと、 例えば、目の前にあるノートパソコンであれば、それぞれの角から内側には対角線が、外側には垂直方向に2本、斜め45度に3本見えている。 同じような四角い形状の物や近しいものであれば全ての物から線が見えてしまう。 紙、机、スマホといった物から、床の模様や柱などから見えてしまう。 その線はどこか別の物に接するまで続いている。 ここまではたまに見えている人や意識してしまう人がいるかもしれない。 しかし、僕はその線の上に何か物体が乗っているのが無性に気になってしまっていたのだ。 このよく分からないも