今週のコラムニスト:レジス・アルノー 羽を伸ばしたくなる夏に、夜遊びはつきもの。ビールと新しい出会いを求めて、六本木にでも繰り出そうか――こんな思いつきも不思議ではない。だが先日、友人に会うために六本木を訪れた私は、この選択肢がもはや存在しないことを思い知らされた。 今の六本木はあまりに汚くて、危なくて、悲惨な場所だ。六本木と比べたら、あの歌舞伎町さえも銀座並みに小奇麗に思えてくる。 かつてこの街にあった無邪気さは、シニシズムに取って代わられた。六本木交差点の辺りで立ち止まれば、ストリップを見ないかと誘う客引きの男や、フェラチオや路上セックスを堂々と持ち掛けるアジア系の売春婦がひっきりなしに寄ってくる。通りにはフライドチキンや油やハンバーガーの臭いが漂い、あちこちのクラブで麻薬が半ば公然と売られている。 シックで素敵なレストランはどこも店じまいしてしまった。酒や外国人との会話を楽しみに六本