この本を読了し、率直な感想は、「疲れた」である。* 私は本を読むことが好きである。それは私の人生において大切な行為であり、一日の三分の一以上の時間を仕事に投ずる身としては、読書の時間はとても貴重なものとなる。また、以前から、著者の『若き数学者のアメリカ』や『数学者の言葉では』、『遥かなるケンブリッジ』にも親しんでい、その軽妙、洒脱な語り口も好きだった。簡単に言えば、旧いファンだったと言える。 その藤原氏とは随分とご無沙汰ではあったのだが、ここ最近の著作は、かつて私がファンであった頃とは少しズレてきているのだろう。この書は、私に とって、いちいち粗さが見えて読むのが辛かった。ただ、奥付を見ると、発行1ヶ月(2005/12/20)で7刷とある。江湖に受け入れられているのも事 実である。しかし、内容は危うい。この書を読まれて、「そうだ、そうだ、その通り。」といった感想を持たれた方が、内容を鵜呑み