第一回PLAYBOYミステリー大賞国内編第一位の作品。 ポスト9・11の罪と罰を描く衝撃のデビュー長篇 と帯には書かれている。友人が、何はさておきこれだと勧めてくれたことがあって、そのあとすぐ買ったのだが、ずっと読まずに放っておいた。のだが、なんとなく先日読み始めてみたところ、出だしに掴まれてしまった。 みんな死んでいる。 みんな死んでいた。扉を開けると、そこにはぼくの母親がいて、すでに葬儀屋がワシントンの州法で義務づけられた防腐処理をすませている。エンバーマーがきっちりと表情をつくり、化粧もじゅうぶんにほどこされ、永遠に凍りついた偽りの安らかさをたたえている。 「ほら、ごらん、お前のうしろを。すべての死者たちがすぎゆくのを」 母さんがそう言ったので、ぼくは振り返る。すると、そこには広大な世界が広がっていて、死者たちがぼくに手を振って微笑んでいる。そこには、人類が同胞を埋葬することをおぼえ
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