知財法務の世界といえば、「警告書の応酬」というのがお約束で、“法的手段”という言葉を見ただけで胸が高鳴る一部の法務担当者を除けば*1、キリがないやり取りにうんざりしている人は多いことだろう。 ここで紹介する事例は、そんなやり取りが3年越しで続いた挙句、原告が「商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求事件」を提起した事件である。 本筋の争いでは原告が見事に勝利したものの、筋の悪い警告書に日々悩まされる法務・知財サイドの人間にとってはちょっと不満も残る判決となっている。 大阪地判平成20年6月10日(H20(ワ)第2149号)*2 原告・株式会社エコリカ 被告・有限会社人と地球社 裁判所が認定した事実によれば、被告は平成17年5月2日以降、以下のような内容のファックス文書を原告に送り続けていた。 「当社(被告)は,貴社(原告)が当社商標を侵害することのないように求めます」 (平成17年5月2日