怪談の冒頭のようなタイトルになったが、実際にそういった文脈もあるように思う。 俺は少し前までクチャラーを憎んでいた。 最初に出会ったクチャラーは親戚の爺さんで、まあこの人については老化しきってるから仕方ないと思ってたし、本人もそれを気にしてか基本的に噛まずに飲む人だったので許せた。 次に出会ったクチャラーは小学校の教師で、奴は他人の礼儀には口うるさいのに自分はクチャクチャしまくる妖怪であり、クチャラーの悪を煮詰めたようなクチャババァだった。 俺が高校に通い出した頃に両親がクチャラーになり始めた。 最初は親父がなって、仕方ないだろ歯が弱いんだからと言いながらお袋とよく喧嘩をしていた。 だがある時を境にお袋もクチャクチャやり始めた。 恐ろしいことに、外食をするときだけはクチャりが止まるのである。 つまり、クチャラーは頑張ればクチャらずにいられるのに、普段は周囲の人間の迷惑を無視してクチャってい