20世紀初頭にヨーロッパで活躍した批評家にエドマンド・ブランデスという人物がいる。いまではあまり読まれていないと思うのだが、当時は絶大な人気と知名度を誇った人物である。そのブランデスが、子供の頃の思い出を書いている。 ある日、エドマンド坊やは、母親に、質問をした。「ねえ、ママ、学校でみんながユダヤ人の話をしていて、ユダヤ人が怖いなんていっているけれど、ユダヤ人って何?」「あら坊や、ユダヤ人を知らないの。だったら、これから見せてあげるわ」「え、ママ、ユダヤ人がこれから見れるの?わーい、うれしいな、わくわく」するとママはエドマンド坊やの手をとって居間につれていきました。そうして坊やに、「じゃあ、目をしっかり閉じて」「うん、ママ、閉じたよ」。それを聞くとママは、坊やを抱きかかえて大きな鏡の前に立ちました。 おもむろにママはいいました 「さあ、坊や、目を開けて。いま坊やの目の前にいる人、これがユダ