前回は,事例1を想定して,表示画面に着目したソフトウエアの保護を検討しました。しかし,表示画面の類似性は立証が容易であるというメリットはあるものの,保護される場面も限定的です。そこで,今回は事例1についてX社のプログラムの著作物に着目して検討してみようと思います。 1 プログラムの著作物として保護されるのはプログラムで用いられる表現 事例1では,X社はY社に対し,プログラムの著作物に関する複製権や翻案権の侵害であることを根拠に,差止めや損害賠償請求を求めることが考えられます。そこでまず,プログラムの著作物として保護の対象とされるものは何かという点について確認しておきます。この点について,著作権法第2条十の二及び同法第10条1項九号,3項一号乃至三号には以下のとおり規定されています。 著作権法第2条 十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を