SONYの「ウォークマン」は1970年代の後半に初めて発売された。電池駆動で、ステレオ・カセットテープで、ポケットに入りそうなくらいに小さかった(でも実際にはそこまで小さくなかったので、ストラップで肩から下げるか腰のベルトに通して使ったが)。テープなのに録音はできずに再生専用、そして、スピーカはなく軽量ヘッドフォンのみで聴く方式だ。 こんな偏った機能を持つ奇妙な機械は、それまで誰も考えたことがなかった。風変わりなこのオーディオ機器は、実際には既存の技術だけを組み合わせて作られたものだった。が、市場に現れてから、はじめは徐々に、しかし次第に爆発的に売れるようになり、最終的にそれは新しい一つの音響機器のジャンルの代名詞になった。 私は要求定義の仕事に向かうごとに、このウォークマンのことを思い出す。私も普及しはじめた頃に買って、すぐに気に入った。もともと音楽が大好きな人間なのだ。とはいえ、“持っ
落語に、「紺屋高尾」という人情噺がある。吉原の高尾太夫の絵姿に一目惚れした紺屋の職人・久蔵は、太夫を一目見たい逢いたいと、死にものぐるいに3年間働いて給金を貯める。太夫といえば大名豪商しか相手にしない超エリートだから、大金を積まねば会うことなどかなわない。ようやく3年後、給金全額を懐に、知り合いで通人の医師に手引きされ、念願かなうべし、と吉原三浦屋にいく。労働階級など相手にされぬ格式ゆえ、野田の醤油問屋の若旦那といつわるのだ。しかし、手の指を見せればすぐに紺屋の職人だと知れてしまう。そこで久蔵はずっと懐手にしていなければならないのだが・・ 士農工商の江戸時代では、「工」に従事する職人の社会的地位は低い。しかし、商品経済にはこの逆順で近いわけで、実際には職人の収入はそこそこのものだった。私が聴いた噺では、久蔵は3年間必死に働いたあとで、親方に自分の給金がいくらたまったかをたずねる。すると親方
なぜ日本だけが取り残されるのか 壊滅と言われながらも急速に甦ってきたアメリカ金融業界、巨額の経済対策と土地バブルで興隆する中国経済。その一方で、世界の経済回復に完全に乗り遅れた日本。このままでは「失われる15年」を繰り返すことになる! 行き詰まる日本経済の課題と今なすべき戦略は何か? 野口教授が描く経済再生へのシナリオ。 「世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか」 野口悠紀雄 (ISBN:4478013497) 「世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか」 野口悠紀雄 (ISBN:4478013497)を読む。震源地である米国は早々と回復しつつあるのは、製造業から金融と情報産業にシフトしていたので、回復において設備償却の負荷が少なく、人員の再配置も進みやすい。 それに対して日本経済はアメリカのバブルな消費に依存していたために需要の回復の見込みはない。また不景気
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く