北アルプス上高地の山小屋・徳沢園(松本市)の上條靖大社長(45)は、今月に今期の営業を終えた後、和室を改装し、コンセプトの異なる4室を来シーズンにオープンする予定だ。4代目の父・敏昭(としてる)氏(会長)から社長を継いだのは2020年4月。松本市・上高地バスターミナルから徒歩2時間弱の山小屋で、気軽にキャンプができるサービスや、雨の日でも楽しめる多目的ラウンジの整備を次々と進めてきた。「宿が旅の目的地になるような、“令和の新しい山小屋”を目指す」 1885年創業、井上靖の小説「氷壁」にも登場 徳沢園は1885(明治18)年、初代の上條百次良(ひゃくじろう)が上高地に牧場を開いたのが創業。1934(昭和9)年に牧場を閉鎖したが、徳沢の牧場監督の小屋を登山者の休憩所として活用した。戦後、徳沢園として本格的に営業を始めた。作家井上靖(1907~91年)の小説「氷壁」に登場する宿としても知られる。