仁川国際空港を飛び立ち、星屑に紛れてアジアの夜空をひとっ飛びに、サマルカンドに到着したのは、寒さに頬がピリつく早朝のことであった。偉大なる指導者ティムールの元、世界一の美しさを目指し作り上げられた都市、サマルカンド。なんとも蠱惑的な響きなのである。 乗り継ぎのタシュケント発の飛行機の中では隣に座っていた巨漢の男が話しかけてきた。首がとにかく太くロシア人格闘家のヒョードルのような風貌および体躯をしていた。男は英語で「サマルカンドで警察官をやっているのだ、そして、俺はもう40時間寝ていないんだ、つまり大変眠たいのだ」と言った。目はびっしりと充血していた。なんでも盛大な飲み会をしていたらしく激しく酔っているようであった。 「日本についてはネットニュースでよくみているんだ。ちなみにNARUTO、俺はあれが好きなんだ」 酔いに伴う怪しい呂律のブロークンイングリッシュで巨漢泥酔警察官は話し続けた。きっ