せつない。実話に基づいている、というのがさらにせつなさを増す。 物語は、1945年7月の中国から始まる。当時、大陸の日本軍は極秘のうちに死体を蘇生させる実験をしていた。この実験が成功すれば、特攻の悲劇は悲劇でなくなるばかりでなく、人体を繰り返し兵器として利用できる(無論、バラバラになった肉片をきちんと回収できれば、の話であり、そういう杜撰な考え方に支配されていたというところに、日本軍の切羽詰り感がある)。無論、荒唐無稽な計画だった。一度死んだ人間が甦るなど、あるはずがない。 しかし、研究の過程で、思わぬ発見があった。中国の奥地に生息する、キノボリホヤモドキが敵に襲われたときに体内で生成する興奮物質がそれだ。この興奮物質は、キノボリホヤモドキの体を非常に硬質にして、敵に食われないようにする。実験のリーダーであった、城山哲三郎博士は、この物質を抽出して人体に組み込めば、最強の肉体を持った兵士が