命奪わず勧善懲悪を 京極夏彦さん、『巷説百物語』刊行 2007年05月18日15時22分 化け物を使った奇想天外な仕掛けで、小悪党の又市らが事件を解決する京極夏彦さんの『巷説(こうせつ)百物語』シリーズ。直木賞を受賞した『後(のちの)巷説百物語』から3年半、4作目の『前(さきの)巷説百物語』が刊行された。「勧善懲悪を考え直したい」という京極さんに、新しい時代劇・時代小説のあり方をきいた。 「通俗娯楽小説を通して読者にいろんな情報を届けたい」と話す京極夏彦さん=東京都墨田区の江戸東京博物館で 「ほとんどの時代劇では悪人が殺されて幕ですね。見ている人はそれをだめだとは思わない。水戸黄門でさえ、切腹者が出るケースが多い。悪を退治して溜飲(りゅういん)を下げるスタイルは娯楽としてはあり、でしょう。が、どんな悪いやつでも殺しちゃいかんというのが現代においての正論ですよね」 『前巷説』は、又市が仕掛け