江戸時代初期に小倉藩(現在の九州北部)の藩主細川忠利が、家臣に命じてワインを醸造していたことが、熊本大による古文書の調査でわかった。糖分の少ないヤマブドウに酵母のついた黒大豆を加え、発酵させた醸造酒だったことが読み取れたという。 熊本大の稲葉継陽(つぐはる)教授(日本中世史・近世史)によると、ワイン造りの記録は寛永4(1627)年以降の史料にあった。同5年の秋に忠利が発した命令を記した文書には、「ぶだう酒を作り申(もうす)時分にて候(ぶどう酒をつくる時期だ)」との記述があった。原料のヤマブドウ収穫のために奉行所が家臣を派遣したことや、製造技術を持つ家臣に対し、別の家臣にも技術を伝えるよう忠利が命じたことも記されていた。 同6年の史料には、黒大豆を…