細菌性の食中毒といえば、以前は腸炎ビブリオ、サルモネラが多数を占めておりましたが、食品の低温流通や飲食店だけでなく家庭でも食品衛生の知識が向上したことで、これらの細菌による食中毒は事件数、患者数とも減少傾向が続いています。その中でカンピロバクターによる食中毒の発生件数はほぼ横ばいで、食中毒統計の上位にランクインするようになってきました。 カンピロバクターによる食中毒は症状そのものは重篤でないものの、まれに発症する合併症のギラン・バレー症候群は様々な神経症状をきたす神経障害であり、生涯にわたる後遺症や死亡例もあるため、十分な予防対策が求められています。 ■カンピロバクター食中毒の特徴 カンピロバクター食中毒の多くは、鶏刺しやたたきなどの生や加熱不十分な鶏肉を食べたことによるもの、鶏肉を調理する過程で、使用した調理器具から他の食材へ移る二次汚染によるものと考えられています。カンピロバクターは鶏