試合が進み、7回裏が終わったタイミングで、急に駅が慌ただしくなった。詰所から駅員や乗務員が一斉に出てくる。2~6番線ホームに停車してあった留置電車に次々と灯りがともる。乗務員が乗り込み、いつでも動かせるようにする出庫点検だ。ドアの開閉をチェックしたり、パァン、と小さく警笛が鳴らされたり。同時に駅員数人が改札口の前で円陣を組んで、担当する業務について最終打ち合わせを始めた。眠っていた駅が、パッと目覚める。 駅長の脇田弘司さんが決断を迫られる時間が、今日もまた近づいてきた。 「ハズレると大変なことになるので、しっかり判断したいと思います」 「ハズレ」とはどういうことか。 日本の鉄道会社の中で唯一の変則ダイヤ 西武鉄道は、ベルーナドームで試合があるときに「野球ダイヤ」という特別な輸送ダイヤで列車を運行する。平日ナイター、土休日デーゲーム、土休日ナイターのそれぞれに合わせたダイヤがある。 通常はほ