離散ウェーブレット変換について 信州大学工学部 井澤裕司 1.ウェーブレット変換とは 近年、画像信号の圧縮や解析の有力な手法としてウェーブレット変換が注目されている。従来のフーリエ変換が、三角関数を基底とした直交変換であるのに対し、ウェーブレット変換では、局所化された関数から作られる相似関数系を基底とする。これにより、周波数精度は若干低下するが、時間−周波数の同時分解が可能となる。[1] ウェーブレット変換には、連続ウェーブレット変換と離散ウェーブレット変換がある。前者は、データのパターンや相似性の解析に用いられるのに対し、後者は収束性のよい正規直交系となるため、データ圧縮やエネルギ解析等に用いられる。[2] ここでは、画像圧縮への応用が期待されている離散ウェーブレット変換(以下、単にウェーブレット変換という)について解説する。なお、ウェーブレット変換は、サブバンド