中居正広は、知れば知るほど正体がつかめなくなる どれも実際に出ている本のタイトルだが、『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』だとか、『明石家さんまの話し方はなぜ60分、人をひきつけて離さないのか』だとか、『イチローに学ぶ「天才」と言われる人間の共通点』だとか、著名人の言動から実用的なエッセンスを引っ張り出そうとする働きかけはおおむね疑わしい。彼らが、取扱説明書を順番に読んでいけば誰でも組み立てられるような、単純な構造をしているはずがない。とはいえ、明らかに目立つ立場で居続ける存在は、表面上そういった分かりやすさを見せつけてくるのも確かである。 社会学者である太田省一は、SMAP・中居正広を1冊丸ごと使って探求した『中居正広という生き方』の執筆動機を「見れば見るほど、聞けば聞くほど正体がつかめなくなるような不思議な感覚に襲われるから」だとしている。その感覚は、本1冊を通読した