20年経った。そして、夢はすべて叶った。いや違う、夢にも思わなかった事が次々と到来してくれた。 正直言おう。あの試合を観ながら、随分と複雑な気持ちだった。 もちろん、それまでの1年間で、既に「相当数の」夢は叶っていた。それらへの喜びは、とてもとても大きなものだったのは間違いなかった。 地元で行われたアジアカップで、アジアチャンピオンになった。 UAEに競り勝ち、ワールドカップ最終予選に進出していた。 ビッグゲームで国立競技場が満員になるのは、当然の事となっていた。 半年前のナビスコカップで、各クラブにサポータ集団が登場していた。 テレビでサッカーが採り上げられる頻度は格段に上がっていた。 繰り返すが、それぞれは大変な歓喜を伴うものだった。でも、私はあの試合を観ながら、何か白けていたのだ。 もちろん、井原はいつもの通り最高だった。木村和司も体調は上々の模様で、相変わらず愉しい選手だった。当時