図鑑に記載したデータをもとに、これまでにわかっている原生生物の進化のあらすじを紙芝居仕立に まとめてみました。まだまだ不明な部分が多いですが、最近の分子系統学の進歩はかなり詳細な進化 の経緯をあきらかにしつつあります。 その要点は、多細胞動物でみられるような従来からある二分岐的な進化系統樹にしたがったものではない ということです。その原因は、原生生物の多様化のかなりの部分が細胞内共生によってもたらされたからです。 他の系統で長年かけて進化した機能を、内部共生により取り込んで我がものにするというやり方で原生生物 の多様化が起きました。内部共生が進行すると、やがては宿主と共生体との間で遺伝子の交換(もしくは代替) が起きることが示唆されています。 したがって、原生生物界の進化系統図は、枝分かれした樹状構造ではなく、細胞内共生によって複雑に 連結した網状構造を示すものと思われます。