はじめに海藍(はいらん)という作家をご存知だろうか。 2000年に芳文社の「まんがタイムジャンボ」誌上で実質的に商業誌デビューした海藍は、代表作の『トリコロ』で創刊初期から「まんがタイムきらら」を牽引した。 『トリコロ』はきらら系作品として初のドラマCD化を達成し、後に設定資料集も発売されている。黎明期のきらら系作品としては異例の扱いであった。 私見では「まんがタイムきらら」史、ひいては『あずまんが大王』(あずまきよひこ)以降の萌え4コマ文脈を語る上で無視できない重要作家の一人だ。 しかし、2023年現在においては、『ひだまりスケッチ』(蒼樹うめ)や『けいおん!』(かきふらい)、『ゆるキャン△』(あfろ)、『ぼっち・ざ・ろっく!』(はまじあき)といった、TVアニメ化を果たした同社の後発作品と比較し、その知名度や世評には開きがあるように感じられる。 また、2018年より主要都市で開催されてき
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