前回、牟田口廉也の宴会エピソードに関する記事を書いたが、その後、再びジセダイ総研に、「昭和陸軍と牟田口廉也 その「組織」と「愚将」像を再検討する」という座談会レポート(以下、単に「レポート」と呼ぶ)が掲載された。 このレポートの内容にも疑問点が多々あるので、改めて検証してみたい。 1 『抗命』と『戦死』の記述の重複説について(1) レポートの中では、以下のようなやり取りが行われている。 「広中:たとえばですが、高木俊朗の『抗命』の中に、牟田口が第十五軍司令部に作らせた遥拝場の前で、撤退してきた幹部の前で長々と精神訓話を垂れて、栄養失調の幹部たちがバタバタと倒れた......という有名な逸話があります。 辻田:ああ、誰でも知っているようなやつですね。 広中:ところが、おなじ高木の『戦死』にはこれに極めて類似した逸話が、桜井徳太郎のものとして出てくるんですよ。こうなると、実証史学的にはどちらも