近代将棋1998年11月号、読売新聞の西條耕一さんの「普段着の棋士たち 関東編」より。 8月10日 村山八段死去の知らせを聞いた。まさかとも、やはりとも複雑な心境だった。観戦記を二度担当した。私は観戦記自体まだ十数局しか書いていないので、思い入れのある棋士だ。夕刊に死亡原稿を書き連盟へ。この日は竜王戦準々決勝、羽生-郷田戦があり、いずれにせよ千駄ヶ谷へ行くつもりだった。 正午過ぎ、3階の事務室に行くと、郷田が椅子に座って、机の一点をじっと見ていた。死去を聞いたばかりで「去年麻雀を打ったのが最後になりました」と消え入るような声で言った。 別件の取材で佐藤名人もいた。何か話しかけられたが、うわ言のようだった。今春のA級順位戦最終局の後、佐藤と二人で未明まで飲んだ。村山の今期休場を聞いた佐藤は「村山君には一度も本気を出してもらったことなかったよ」とつぶやいた。 二人ともかなり酔っていた。私がどう
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