【この文書は2017年1月2日に公開していますが、その後の1月13日、規律パネルの決定がホームページ上で公開されました。これに伴い内容の一部を更新しております。2017年1月14日追記。】 新年あけましておめでとうございます。 2016年も残りわずかとなった12月20日。日本アンチ・ドーピング規律パネル(以下「規律パネル」といいます。)は、私が担当していた事件の当事者である千葉和彦選手(サンフレッチェ広島F.C)をけん責処分とする決定をしました。 この決定は、処分であり、制裁を科すものです。しかし、私は、規律パネルが、千葉選手には落ち度がなかったと判断したと理解しています。2年間の資格停止が原則とされている「特定物質」(定義は後で解説します。)に対するドーピング違反に対する審理で、規律パネルが、「けん責」の決定をしたことは、同時に、千葉選手には、資格停止を科すべき落ち度がないことを示した内