黒い霧から魔物が発生する世界。 魔物は〈獣〉と呼ばれ、獣を殺す者を〈狩人〉と呼ぶ。 〈澱底(オリゾコ)〉と呼ばれる危険地帯で育ったラドゥは、師であるガロの死をきっかけに、故郷から外の世界へと旅立つ。 たまたま立ち寄った街で金を稼ぐために引き受けた仕事は、なんと〈協会の狩人〉の荷物持ち。 狩人の三人はなかなかの猛者。 ガロに殺しのすべてを叩き込まれたラドゥであったが、どうやら今回は剣を抜くことはなさそうだ。何ごともなければ、だが……中編『ラドゥと旅路と獣狩り』 旅路を続けていたラドゥは、ある日街道で黒衣の男たちに襲われていた少女を助け出す。ヨキ国王家の血を引くという少女〈シムカ〉の用心棒を引き受けたラドゥは、彼女を〈憑人の里〉へ送り届けるべく、旅路を再開する。 一方、シムカを狙う黒衣の傭兵集団は、ゾルガ国最悪の狩人〈ザルファ〉を仲間に、少女と少年の追跡を開始する。 果たしてラドゥは少女を守り