全国の山で登山道の荒廃が進んでいる。民間の山岳会員の高齢化や近年相次ぐ豪雨災害、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う登山ブームの復活などが重なり、維持管理が追いつかないためだ。11日の「山の日」に合わせ、現状を取材した。 後世に残す議論ない 「現場では維持管理が全く追いつかない。荒れた登山道の脇を登山者が歩くようになり、植物が踏み荒らされて、さらに裸地が広がるという悪循環に陥っている」 登山道の維持管理に取り組む北海道当麻町の一般社団法人「大雪山・山守隊」で代表理事を務める岡崎哲三さん(49)はため息をつく。 活動の場は、北海道中央部に広がる大雪山国立公園内の山々だ。その面積は東京都全域を上回る約2300平方キロメートルで、登山道の総延長は東京―名古屋間に匹敵する約300キロに上る。 登山道にはまず、人が繰り返し踏むことで裸地化したものがある。植物がなくなった道は雨水が流れることで次第