序 ここ最近「OjohmbonX」で被ブックマーク数が比較的多かった(5以上だった)2エントリ「赤い糸で、つながる小指」 (id:OjohmbonX:20100907)、「どこの惣菜屋でも起こってる、ありふれた出来事」 (id:OjohmbonX:20101009)についてその物語を要約してみると、前者は「占い師になったヤクザが組長に諭されて組に戻る話」、後者は「男子大学生に恋をした中年女性が大学生に諭されて夫の許に戻る話」となり、両者とも「元の鞘に納まる」という物語の構造に易々と納まっていることがわかります。 ここではどうしてそんな事態に至ったのか、加えてその周辺のあれこれ――掌編、短編、長編の違いについて、作者の特権性について、人称について、批評について等々――を冗長さを厭わず考えてみたいと思います。 目次 序 細かく見てみよう その他例証 構造が共通する理由 二つの仮定 ズレない、と