「私はね、部下たちに恋人気分で仕事しろって、いつも言ってるんだよ。ガッハハ」 これはかなり以前に、ある企業の社長が言っていた言葉だ。 恋人気分で仕事って、どういうことだろうか? 社内恋愛? 社内不倫? それとも…。おそらく今の私だったら、「それってどういうことですか?」と聞いたに違いない。でも、あの頃はそんなこと、どうでもよかった。男のいない女の楽園(?)で働いていた私(客室乗務員でした)にとって、「恋人気分で仕事」とは、まるで実感のわかない言葉だったからだ。 路線もスケジュールも複雑な国際線では、同じ乗員さんと一緒のフライトになることはめったにない。ましてや、機内に乗り込むお客さんと「ビビビ」とくるような出会い(古い!)は、宝くじに当たるようなもので、夢のまた夢だったのである。 それに当時は、今ほどセクハラセクハラと騒ぎたてる風潮もなかった。「会社に好きな人がいれば、毎日会社に行くのもけ