ジャズピアノ奏者、秋吉敏子(93)のソロピアノによる全国ツアーの千秋楽を東京で聴いた。 休憩を挟んで計70分。自作の代表曲「ロング・イエロー・ロード」から始めて11曲を力強いタッチで演奏し、ピアノ奏者として堂々たる現役ぶりを示した。 拠点の米ニューヨークから来日し、北海道、東北、そして横浜、東京を回った計8公演の最終日。練習に2日をかけ、万全の体調で、この日を迎えた。 会場は東京・銀座のヤマハホール。アコースティック楽器の演奏に最適化した音響設計がなされている。 その舞台の下手から姿を見せた秋吉が、中央に置かれたピアノへスタスタと歩み寄る。客席にぺこりとお辞儀をすると「ロング・イエロー・ロード」を弾きだした。 主題を提示した後、即興演奏に入るとリズムが揺れ始める。スイングだ。巧みにペダルを操作する右足だが、時折、前に蹴りだされる。別の曲ではパンと音を立てて床を踏みつけた。体全体でビートの絶