愛情や態度は評価できない〜与党・教育基本法案の危険性 (藤田 英典=国際基督教大学教授) はじめに 私は、現在国会で審議中の教育基本法改定に反対しているが、教育基本法は改正すべきでないと主張するものではない。また、国や郷土への愛着や誇りも、道徳心や規範意識も、重要でないと考えているわけではない。それどころか、教育社会学者としての私の関心と学問的蓄積からしても、国や郷土を含む様々な集団への帰属心・愛着・誇りや規範意識は、集団にとってもそのメンバーとしての個々人にとっても、非常に重要だと考えている。 しかし、それらは、日々の生活経験・学習経験を通じて「自然に(知らず知らずのうちに)」育まれるものである。どのような方法であれ、学校教育において意図的・強制的に教え込むことによって育むべきものではない。そうした教え込みが教育の場に広まるとしたら、そのとき、教育の場とプロセスは歪んだものとなる