全英女子オープン最終日。2位に2打差の単独首位で1番ティに立った渋野日向子は、それまでの3日間と同じように屈託のない笑顔でスタンドやロープ際のギャラリーに挨拶をした。そして、日本人らしく一礼。それからセットアップに入っていった。 ティショットを打ち、フェアウエイ方向へ歩き出した渋野は、ロープ際から声援を送ってくれていたギャラリーの方へ視線を左右に動かしながら、小さく手を振り、にっこり微笑み、そうやって前方へと進んでいった。 そんな渋野の様子を見て、米TV中継局のアナウンサーは驚きの声を上げていた。 「最終日最終組でティオフする選手が1番ティであんなふうにスマイルを見せ、あんなふうに観衆に手を振って歩いていくなんて、これまで見たことがありません」 そして、その現象は18番まで続いていった。あるホールのグリーンを終えて次のホールのティグラウンドへ向かう途上では、ロープ際から差し出された「すべて